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室内で大音量の楽器演奏などを行いたいならば、小手先の防音対策よりも、適切な壁材を使った防音工事を行うことをおすすめします。やや費用のかさむ工事となりますが、周囲に気兼ねなく楽器演奏をしたい方にとっては必須の準備となるでしょう。
ここでは、防音壁材の定義や種類、それぞれの防音壁材の特徴、壁材の組み合わせによる防音効果の違いなどについて詳しく解説しています。
防音壁材とは、外部への音漏れや振動漏れなどを防ぐ壁用建材の総称です。
「防音」の機能を大別すれば、「遮音」と「吸音・拡散」の2種類。遮音とは音を通さなくする機能を言い、吸音・拡散とは屋内の音の響きをコントロールする機能を言います。遮音機能を担う建材の大半は壁の中にあるため、事後的な防音対策として使用する防音壁材は、一般に吸音・拡散機能を持つ建材を指します。
なお遮音のみを重視した場合、音は室内にこもってしまうため、音漏れは防げるものの音響環境は悪化します。逆に吸音・拡散のみを重視した場合、音の響きが失われるため違和感のある音響環境となります。
音漏れを防ぎながら理想的な音響環境を実現するためには、遮音と吸音・拡散のバランスが取れた防音設計とすることが大切です。
防音壁材は、大きく分けて「仕上げとして使用されるタイプ」「下地に入れるタイプ」「後付けできるタイプ」の3種類があります。また、「下地に入れるタイプ」には、音響下地と遮音下地の2種類があります。
以下、それぞれの壁材の特徴を確認してみましょう。
広く知られている防音壁材が、音響仕上げ壁材です。
音響仕上げ壁材とは、主に貫通孔加工(小さな穴を壁材にたくさん開けた加工)が施された壁材と拡散壁材を併用した仕上げ方法のこと。たくさんの穴から抜けた音を壁材の背後にある多孔質素材で吸音しながら、拡散壁材で音を反響・拡散させる仕上げ法です。学校の音楽室、街の音楽教室、カラオケボックスなどでよく見かける防音仕様となります。
音の吸音と反響・拡散を両立させるためには、吸音壁材と拡散壁材の量のバランスを熟考することがポイント。使用用途や演奏する楽器の種類などに合わせ、専門業者によく相談することが大切です。
音響下地壁材とは、クロス仕上げの内側に設置する吸音壁材です。設置した吸音壁材はクロスによって隠されるため、一般的な室内と同様、見た目に違和感はありません。
吸音壁材には、音のエネルギーを吸収する多孔質素材が使用されています。そのためクロスには、音のエネルギーが通過しやすいよう織物クロスを使用する形となります。
遮音下地壁材とは、もっぱら遮音を目的として設置する下地材です。遮音パネル、遮音シート、遮音マットなど、さまざまなタイプの遮音下地壁材があります。
ただし遮音機能のみを重視した場合、室内に音がこもってしまうため、良好な音響環境は得られません。音の反響・拡散効果も発揮させるため、一般には音響壁材や後述の吸音パネルなどを併用します。
後付け吸音パネルとは、既存の壁に設置する吸音壁材です。高密度の不織布やグラスウールなどが吸音パネルの基材として使用されています。
後付けで簡単に設置できる防音壁材なので、すでに間取りや家具の配置などが決まっている室内でも、問題なく設置できる点がメリット。また、防音工事をしたものの音が響き過ぎると感じた場合でも、大がかりな工事を必要とせず設置できる点もメリットとなるでしょう。
おしゃれなデザインや配色の吸音パネルを選べば、室内ではインテリアとしての役割も果たします。
防音壁材の効果は、壁材の組み合わせによって防音効果が変わります。
たとえば「吸音ウール」と「遮音パネル(クロス仕上げ)」の組み合わせの場合、一般的な構造の室内に比べ、音漏れを1/2程度までしか抑えることができません。一方で、それらに「石膏ボード(12.5t)」などの複数の防音壁材を加えれば、最大で音漏れを1/8程度まで抑えることができます。
ただし、防音性能を高めれば高めるほど工事費用が高くなることに要注意。一般に遮音性能を10dBほど高くするためには、費用が2倍になると言われているため、防音室の使用目的などに合わせ費用対効果を考えた防音設計にすることが大切でしょう。
防音壁材の意味と種類、それぞれの防音壁材の特徴、防音壁材の組み合わせによる防音効果の違いなどについてご紹介しました。
近隣への音漏れを気にしながら楽器を演奏しても、心から演奏を楽しむことはできません。音に没頭する毎日をライフスタイルの一部にしたいならば、やや費用はかかっても、しっかりとした防音工事を行うべきでしょう。
もとより楽器演奏に限らず、私たちは気づかずにさまざまな音を外部へ発しています。逆に、ストレスとなる音が昼夜外部からも入り込みます。快適な毎日を過ごすためには、住宅全体の防音仕様を再検討することが理想かもしれません。
オーディオルーム・シアタールーム・演奏室などの防音・音響事業を手がける。
豊富な知識と経験を活かし、利用者のライフスタイル・用途に合わせた、数々の音響防音空間を実現。
防音室を作りたい場所の下見・見積もりまでは全国どこでも無料。ロック魂で駆けつけます。
ハウスメーカーで現場監督経験を積んだあと、2000年に解体業を経営する家業に入り、ハウジング事業を立ち上げる。
学生の頃から趣味としていたドラム・オーディオを活かした音響防音事業をスタート。「止められない音はない。音響特性にこだわる音でお役に立つ」をモットーに、365日、防音室の探求に励む。