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【ピアノ防音】グランド・アップライトの違いと振動対策

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ピアノ防音は「空気の音」「床への振動」の2つがカギ

自宅でピアノを思い切り演奏したいけれど、「近所迷惑にならないか」「マンションの床が抜けないか」と不安を感じている方は多いのではないでしょうか。

ピアノの防音対策は、単に壁を厚くして音を漏らさないだけでは不十分です。特にマンションや集合住宅においては、音そのものよりも「振動」への対策がトラブル回避のカギとなります。
ピアノの防音対策には大きく分けて2つのアプローチが必要です。

ピアノの場合、美しい音色(空気音)を遮断することに意識が向きがちですが、ご近所トラブルの原因になりやすいのは、実は建物自体を揺らす「固体伝播音」の方です。そのため、ピアノ防音室では壁だけでなく「床」の構造が極めて重要になります。

グランドピアノとアップライトピアノ、防音対策の違い

ピアノには「グランドピアノ」と「アップライトピアノ」があり、構造が異なるため、音の広がり方や効果的な防音対策も異なります。

グランドピアノの場合

グランドピアノは、響板が水平に張られており、音が上下(天井と床方向)に大きく広がります。特に床下への音抜けが強烈なため、床の遮音・防振対策を最優先に行う必要があります。また、大屋根(蓋)を開けて演奏する場合、広い空間容積と高い天井高があったほうが、音が詰まらず豊かな響きを楽しめます。

アップライトピアノの場合

アップライトピアノは、響板が垂直(背面)にあります。つまり、音が背中側から壁に向かって直接放射される仕組みです。そのため、ピアノの背面を隣戸との境界壁に向けて設置してしまうと、お隣へダイレクトに音が伝わってしまいます。

対策としては、壁から10〜15cmほど離して設置したり、背面に遮音パネルを設置したりする方法が一般的です。

なぜピアノには「床補強」と「防振」が必要なのか

ピアノ防音において「床」が重要な理由は、音の問題だけではありません。「重量」という物理的な課題があるからです。

1. 300kgを超える重量への「床補強」

アップライトピアノで約200kg〜270kg、グランドピアノ(家庭用サイズ)では約300kg〜400kgもの重量があります。

一般的な住宅の床の積載荷重は、建築基準法で1平方メートルあたり180kgまでと定められています。ピアノの脚(キャスター)は3点または4点でこの重量を支えるため、点荷重が非常に大きくなります。

特に木造住宅や築年数の古いマンションに設置する場合、床がたわんだり沈んだりするのを防ぐために、床下地を補強する工事が必要になるケースがあります。

2. 打鍵音とペダル操作音を防ぐ「防振対策」

鍵盤を叩く「カタカタ」という音や、ペダルを踏み込む「ドスン」という振動は、想像以上に階下へ響きます。これを防ぐためのアイテムや設備には以下のようなものがあります。

調律師が作業しやすいスペース確保の重要性

防音室の設計で見落としがちなのが「調律(メンテナンス)のためのスペース」です。
防音室は限られたスペースで作ることが多いため、ピアノがギリギリ入るサイズで設計してしまいがちです。しかし、ピアノは定期的な調律が欠かせません。

調律師は鍵盤の手前だけでなく、グランドピアノであればピアノの湾曲している側やアクション(内部機構)を引き出すスペースが必要です。アップライトピアノであれば、天屋根を開けたり、場合によっては外装パネルを外したりして作業を行います。

これらが確保されていないと、調律作業ができない、あるいは正確な調整が難しくなる恐れがあります。防音室のサイズを決める際は、演奏者だけでなく調律師が作業する動線も考慮に入れましょう。

まとめ

一戸建ての1階に置くならまだしも、マンションなどの集合住宅でピアノを弾く場合、階下への配慮はマナーの範囲を超えた「必須条件」と言えます。

「昼間しか弾かないから」といって対策を怠ると、打鍵時の振動が毎日コツコツと伝わり、深刻なトラブルに発展しかねません。ピアノの防音室を検討する際は、壁の厚さだけでなく、「床の防振性能」や「建物の耐荷重」について、専門的な知識を持った業者に相談することをおすすめします。

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一級建築士&防音室を探求し続ける
庭瀬寿洋
                   

ハウスメーカーで現場監督経験を積んだあと、2000年に解体業を経営する家業に入り、ハウジング事業を立ち上げる。

学生の頃から趣味としていたドラム・オーディオを活かした音響防音事業をスタート。「止められない音はない。音響特性にこだわる音でお役に立つ」をモットーに、365日、防音室の探求に励む。

庭瀬寿洋

引用元:SUPER CEO
https://superceo.jp/indivi/focus/i60604-2